第7話 チャグムの決意

 「海賊王に俺はなる!」

 は別の人の決意なんですけど(マンガ『ワンピース』)。

 「糖分王に俺はなる!」

 も違う人の決意でしたね(マンガ『銀魂』)。
 まあそれはそれとして、朝の扇ノ下……あれ? 扇ノ下なんだ。タンダんち戻ってないんですね。怪我で戻れなかったのか。江戸時代みたいな朝の風景で、人足みたいなのが走っています。その音で目覚めたバルサの枕元には血みどろの包帯が。タンダ片付けてから帰れ! 汚物はとっととスタンダード・プリコーション処理しろ(スタンダード・プリコーションとは汗以外の全ての体液を感染の危険性があるブツとみなし、隔離と管理をして始末すべきという概念です)! その血みどろの布っきれではなく、槍を眺めて「よく生き残ったもんだね……」というところがバルサらしい。芯から闘鶏です。
 あれ? そういや前の巻のDVDのときはうっかり見逃してましたけど、穂先って、カリュウドレンジャーと一戦やらかしたときにスッコ抜けて飛んでいきませんでしたっけ? いつ拾ったのでしょう?

  選択肢@カリュウドピンク(デコリボン)が第三話の裏方でカサ拾うようにして、幕間の間に出っ歯が拾ってきた。
  選択肢A武器と一緒じゃなきゃ安眠できないバトル中毒患者(既に末期)のためにタンダが処方した安定剤。
  選択肢B実はアレは選ばれた戦士の元に生命尽きるまで舞い戻ってくる聖槍(せいそう)オメガマックスである。
        「私を怒らせた時点で貴様は既に死んでいるぞ魔王おおおおおおぉぉぉぉ!!!」
         ―――惑星ワグスマクター:No8星雲の消滅まであと三秒―――

 って、それ以上に気がかりなことに、おチャグがいるのにタンダがいません。どこだ。割烹着きて台所か? そろそろ包丁でねぎを刻む音とだしと味噌の芳醇な香りに混ざる「みんなー、起きてー、もうごはんですよー」のモーニングコールか? モーニングコールなのか? 目覚ましはフライパンとおたまか? おたまなんだろうな。
 さて、えらく巨大なにやけ石像(にやけ石像?)の眼前で繰り広げられる体悪そうな兄貴とか沈痛な顔した諸葛孔明(帝)とかの葬式光景はつゆ知らず、擬似ファミリーの一日は、ほのぼの続いてます。外食だ外食だ! チャグム随分ときょろきょろしてますね。未だに、例え数人で連れ立っていたとしてもファミレスに及び腰で入店する幼少期トラウマ持ちのDNDDにはうらやましい光景です。戻ってきたタンダとバルサが話しているのは、今後の住処の算段。

  バルサ「見つかったかい?」
  タンダ「みつかった。なかなかの掘り出し物だ」
  バルサ「いつ入れる?」


 バルサ何この上からの目線? 亭主関白か? 亭主関白なのか?
 ちょっと待ってください。バルサとチャグム、タンダの家には住まないんですか? いいじゃん押しかけ女房というか超旦那っていうかタンダ願ったり叶ったりじゃん。もうなんか話しかけたい相手が傍にいて話しかけてもそれが当たり前でたまにチャイルドが茶々入れたりしてハッピーまたひとつ日常に思い出じゃん。知りませんけど。あ、ウェイトレスのおばちゃん、タンダっぽい系統の民族衣装ですね。アイヌ模様(アイヌ模様?)。光扇京にもいるんですね、原住民系のかた。農村近辺ばかり著しいのだとばかり思ってましたよ。それともメイドカフェならぬヤクーカフェか? あり得ねぇ。

  被・亭主関白「トーヤとサヤには、全部話したよ。怒ってたぞ、二人とも」
  加・亭主関白「そうかい。あの二人には、迷惑かけちまったからね」


 迷惑だどうだではなくて、話してくれたくれなかった、という怒りではないですかね。あんだけ姐さん姐さんいってる自称:一番使える頼まれ屋(他称:出っ歯)は特にそうなのでは。届けられたさかなまんま(メザシまんま?)を一口ずつ口に運ぶプリンスと、がつがつかっこむバルサとの対比にほのぼのしていると、タンダがやたら神経質に周囲に視線を配っています。どうやら、お尋ね者にでっち上げられたバルサがあまりに堂々としていることに冷や冷やしているようです。そりゃ、タンダじゃなくても心配しますよ。木を隠すには森の中―――は、用法が違うか。とにかく、心配ないということの証明に、バルサはそこらへんの武人っぽいおっさんに話しかけました。

  ムダにお尋ね者「ちょっといいかい?」
  おっさん「くっ―――駄目だ。お嬢さんの気持ちはありがたいが、わたしという芸術は既に妻のものであり―――!」

 といった某マンガのDNDD的名せりふを返すでもなく、「なんじゃい?」と無愛想に切り返すおっさんですが、その背後に空っぽのどんぶり三杯が重ねられてるのを見るとそれだけで薄ら笑いが。あんたもう四杯目のごはんかよ! タンダの分の注文そっちいっちまったんじゃねぇだろーな!

  もう丼モノ四杯目のおっさん「バルサぁ? そいつは今一番アツい話題だな」
  アツいらしい姐さん(あんたのツラの皮ほどじゃねーよ)

 とかいらんとこにツッコんでるうちに、おっさんが口から出任せでいい気になるという光景が披露されることによって、「だれもが求めているのは、バルサ当人でなく、バルサを核にした派手な噂話だよ」の裏づけが取れたようです。バルサは満足そうにごはんに戻りますが、タンダは「豪気と無謀は履き違えてからじゃ遅いんだぞ」とでもいいたげな渋面。原作タンダのほうが、アニ・タン(アニメタンダであって兄たんにあらず)より大らかな感じがするからでしょうか……アニメのタンダ、若造のスメルが漂っています。
 あ。やっとタンダのご飯が―――って、豆? さかなまんまと同じもん頼みませんでしたっけ? 魚肉どころか豆にランクダウンしてますけど。

 選択肢A:実はこれこそ、さかなまんまの真実の姿である(精進料理)。
 選択肢B:さかなまんまの代金も払えそうに無い甲斐性無しであるとみなされ、タンダのご飯は自動的に格下げされた。

 BだろB、と考えていたら、どうやらコレ祝い料理のようです。なんかテレテレと嬉しげなタンダが、凡俗慣れしてない幼弱プリンスに、愛しげに説明してます。

  なんちゃって王子(中年)「これは、ギショって料理なんだ。家を継げないヤクーの男が、無事に家族を持ったお祝いに振舞われるものでね―――」

 なんでタンダが家を継げない男だって一発でバレてるんですか? やはり選択肢Bか? それとも、こんな お母さん:ヤクー混血ヨゴ人 お父さん:カンバル純血 子ども:ヨゴ純血 という国家もカラフルな人種の三人をいきなり家族と断定したおばちゃんウェイトレスがただ者ではないのか(お父さんとお母さんはメンタル的には配役は正確なはず)。新ヨゴ皇国は、後妻だとか再婚だとかが普通の国家なのでしょうかね? だったら、こういったのも別に不思議というほど不思議ではありませんが。
 わざわざ卓の上に豆を並べ、微妙なテンションの上がり具合をうきうきと表現している薬草王子。そんな中年を「皿から食い物を出して遊ぶな」と叱り飛ばすでもなく、バルサはお父さん豆を食べて、どうにも腑に落ちない様子です。まあ確かに「なんだかね」という感じになるかもしれませんね。ヒヨコ豆おチャグは、よく分からずに頭がぴよぴよ。こいつの服が黄色だったら、バルサ・タンダ・チャグムの服装カラーリングがギショと一致したというのに、まったく気の利かないお子様です。もうなんか雨とか降れ! そんで、このチビを小学校低学年用の黄色い雨ガッパとかでくるんでしまえ! コンビニおにぎりの海苔のごとく! (八つ当たりにも程がある)
 さて、引きこもり解除令が出たにも関わらず失道の病にかかった麒麟(←小説『十二国記』より)のような砂糖様の自己嫌悪オンパレード(読んだ石版は片付けてください)とか、その優しさを弟子にも向けてーといいたくなるほど言葉柔和なトロガイ師(言葉掛け相手:弟子の身内から無断強奪したロバ 通りたい近道:自殺のツールとして最も適していると思われるきっつい崖 あだ名:「ゆばぁば」ならぬ「ろばぁば」)とかの津々浦々もほっといて、そこらの血縁よりも家族っぽい家族なバルサ一行の一日は続いています。

  擬似子ども「まぁま、あぁれーほーしーいー!」
  擬似まま「だぁめ! ろくにお手伝いもしないくせにこの子は!」
  擬似ぱぱ「まあまあ、いいじゃないか今日くらい。どれ、ぱぱにどれが欲しいか言ってみな」
  擬似まま「あなたは黙っててちょうだい!」

 といった80年代ホームドラマの光景ではなく、タンダが急に切り出したのは、なんともすっとんきょうな話題でした。

  どこまでいっても王子「そういやいつもなら、お前の仕事はもう終わってるんだよな」

 ……なんでいきなりそんな話に?
 最近はやりの「こいつら学校卒業したらソッコーで分かれそうだよな」的カップル醸成少女マンガに出てくる恋愛少女ばりの、激烈なきりかえしです。キャッチボールでないにもかかわらず、キャッチボールとして成立させろと言わんばかりの、横柄な会話の振り方。会話成分は、主に単語とモノローグのみ。いわゆる、独りよがり。なんだなんだ? 最近はこーんなゴーイングマイウェイなのがハヤリなのか? アレだぞ。こういうのに限って勘違いしたり履き違えたりした挙句、誕生日になった途端の午前零時かっきりに電話かけてきたりあまつさえうっかり寝てよーもんなら逆恨みして勝手にひともんちゃく起こしたりするぞ。こちとら明日は他人様の命に関わるってのに無駄に健全な貴様の自己満足のタシになる為だけに起きてられる訳あるかこの恋愛悪酔い者が!! って言ってはいけません。みんな良心で動きましょう。ね? 人って字は支えあって生きてると見せかけて支えてんの右だけなんですよ。左側のノのヤツは、右にもたれてるだけなんですよ。って、何の話でしたっけ。
 まあ、タンダは、思いついたから聞いただけなんだろうけれど、自分たちの背後にその仕事のターゲット(ビジュアル的になんか頼りにならない元祖プリンス)がいるというのに、その会話の提供はどうなんだろうか。三十路すれすれのくせして、このヤクーブレンドは。
 と、街の中でも薬草の仕入れを行うタンダ。やはり、タンダの扱っている薬とは、漢方というか和漢薬のようなモノらしいですね。店内に干してあるカエルやその他動物のもろもろも、そういったジャンルではそれなりに用いられる薬のパーツですし。屍骸とか、化石とか、毛とか、毛の入ったうんことか(正確にはある種の腸内残渣物)。
 と、座ったバルサが腹をなでています。

  バルサ「食いすぎた」

 などと言ったことではなく、傷の具合を確かめている数秒まで丁寧に表現されているのは、プロダクションの愛が伝わってきて心が温まります。ちゃんとキャラクターを考えて作ってくれてありがとうIG。タンダの欲した薬、やたらレアな品物なのか、タンダが上客だからなのか、遠まわしに「帰れお前」と追い返そうとしてるのか分かりませんが、蔵から出してもらうため少し待たねばならないとの事。並んで座るバルサとタンダの距離の近さは、もはや夫婦。いいからもうくっついちまえよお前ら! いいから! いいからくっつけ! ほーらほーらあなたたちはくっつきたくなるーと発光するブラウン管にむけて指をにょろにょろさせてみましたが全く効果ナッシングです。

  みんなのおかあさん「……なあ、お前、これからうまくやっていけるのか? 一生面倒見るってことは、母親になるようなもんだろ?」
  みんなの親父(おとうさんにあらず)「そういや、そうだねぇ」
  いやでもおかあさん「はぁ(ため息)」
              (おとうさんったら、何も分かってないわ)


 だからそこにタンダもいっしょにくっついて、バルサとツインまま(というより夫婦)になっちまえば百人力なんだよ! だからいいじゃんもういいじゃん! な? 末っ子なんだろお前、家とかしちメンドくせぇしがらみ目減りしてるじゃん! な?
 と何に対して求めている同意なのかも分からない心中の雄たけびを放射する一視聴者をよそに、「俺、ここにいていいのかな」と気になりだしたチャグムは、急に色んなことに気付き出した様子。生きるのには万事、お金がついて周り、自分も生きながらえてしまった以上は、お金がかかり続ける存在であること。というのに、生きながらえるために自前の全資金(二ノ妃からの依頼金)はすべて使い切ってしまっていて、これから先の分は何も元手が無い。しかも、自分は一銭も儲けていない、と。こんなこと考えてた時ありましたねぇ……っていまいち人事ではない悪寒が。気のせいだよね。気のせいさ。ふふ。うん、そうだよ。
 アクロバティックな跳ね返りを見せるカエルがいるあぜ道を抜けてタンダと別れたバルサとチャグムは、家を借りにどこかの爺さんに会いに行ってます。おや、またしてもお金の話題が。ここにきて、お子ちゃまのがっつり世間知らず具合が露呈されます。

  王子フレーバー抜け切らぬ王子「寝るのにも金を払うのか!? 寝たのは余じゃぞ!!」
  親父スメルばりばりの用心棒「寝てて衣食住が安定すんのは家ネコくらいだよ」

 愛玩動物に成り下がってもいいので衣食住を安定させてください……というのは、ある意味、ちっちゃい時(反抗期を迎える前くらいの)の子どもとかにも通じる本能だと思いますけどね(また敵を増やす言動をしてこの馬鹿が)。おチャグよ、胸元から取り出したそのルイシャは駄目だ! ンなご大層な宝石の換金先はあの茶色いキリコしかいないから、あのツンデレに、とーちゃんにつけ込むポイントをまたひとつ作ってしまうことになるぞ!
 そんでもって、ナージの骨らしきものを軒先に垂らした家で―――あれ? 家を借りる相手のこの爺さんも、バルサらとチャグムをホントの家族と思ってます。似てるのかなぁ、そんなに。アニメ絵の造作だけ見れば、似ていないこともない……んでしょうか。わあ、一万ルガル金貨が三枚です。バルサ、機会があれば逃さずに、金貨であってもやたらほいほいと出します。貯金は美徳であれど、貯金という行為そのものを美徳とするのは賢いとはいえないということを知っているのは、さすが百戦錬磨のバルサ姐さんです。
 さて、オール鬱オーラ漂わせる宮メンバーなんぞ全く知ったことではなく、尻尾の白いからすが飛んでいく道すがら、ジグロの話題が。そうですか、確かにジグロは無口な印象ではありましたが、本当に無口だったとは。バルサも口数が多い方ではありませんよね。
 借りた家は、あばら家までいかないけど、住んでる人が性悪だったら絶対にあばら家って近所から陰口叩かれそうな、それなりにぼろぼろのお家でした。

  チャグム「ここに住まうのか……?」
  バルサ「そうだよ」

  腐っても王子「嫌じゃ」

 とは言い出しませんでした。さすがに。

  ついさっきまでプリンス「よもや、金貨を払ってまで水車小屋に住まうこととなろうとは……」
             (大事に使ってくれって、大事にできるほど無事なパーツ残ってねぇじゃねーか)

 おチャグ、口先は失礼でも心奥はショック(DNDDの誤訳はやはり失礼)。水車(なんか動くさまがCG臭いですけど)も付いてて、なかなか楽しそうな家なのに、天井に穴まで開いているとなれば話は別。衣に金・住に金・食に金……と、王子の心中は生きる気苦労によって板ばさみです。なんか、幼稚園児の時の作文で将来の夢を書けと言われ「おにわやさん(お庭やさん=花とか売ってるガーデニング屋のこと)」と書いたところ「自営業は日本では未だに保険形態が不備なんだよ!! 教師になれ!! いいか!!? そもそも自営業に適用される保険というものは―――(以下、延々と第一種国保の話)!!?」とそれを見た父親に怒鳴りつけられ、先生に嘘をつく後ろ暗さと父親を怒らせてしまったという罪悪感がてんこ盛りになっていたキンダーガーデン時代を思い出しました(ちなみにDNDDは結局どちらも選ぶことができず、両方に嘘をつく某医療職でカタをつけました)。てかバルサ、あんなヘヴィーそうな水車の杭、たとえ腰だめに構えてたとしても、上げ下ろしして見せておなかは大丈夫なんでしょうかね。街での薬草屋さんでの「OK!」という立ち居振る舞いを見てると、過剰なやせ我慢ではないでしょうけど。

  タンダ「ただいまぁ」
  バルサ「ちょっと、買いすぎだよ」
  タンダ「まあ、いいじゃないか」


 めおと発見しました! めおと発見しました! ええ何回だってリピートしてやりますよ、めおと発見しました! ちくしょう、この幸せを君、通りすがりのそこの君にもプレゼントだ! 待て、なぜ逃げる、待てや、おるぁぁぁぁ!
 とか見知らぬ通行人を追いかけるという某単行本をパクっている場合ではない。おいしいものを食べてもらおうと思ってお肉を買ってくるママはうきうき。

  雰囲気は王子「すぐ用意するからな♪」

 ごはんの用意はやはりタンダらしいです。間違いなく適材適所。昼間の豆の一件がそんなに嬉しかったのかタンダ……とまで言ってしまうと、拡大解釈に違いないでしょうけれど。いっそのこと主食:ギショ、副食:ギショ、副菜:ギショ、明日の弁当:ギショとか嫁姑戦争もはなはだしいオンパレードにするんじゃなかろうかとか危ぶんでいると、できたご飯は、鍋 ザ ☆ 今週ノ飯。味噌ナベ……味噌なべか!? おいしそうなこと限りなし。DNDDにもひとくちください。なにかしますから。
 さて、心にイチモツ抱えていると、てき面に食欲がうせるという、フェブダーク男爵クロワール(←小説『星界の紋章』より)のようなチャグムは、あっという間にバルサにそれを感づかれてしまいます。ここでいう「『バルサのおかげで』息災じゃ」という一文が、なんとも暗澹と複雑な心中を揶揄しているようで大好きです。そして、決死の思いでそれを切り出すチャグム!

  チャグム「二人に、折り入って話があるのじゃ」
  バルサとタンダ「(食うのだけはやめずもぐもぐしながら顔を見合わせる、これまたタイミングばっちり☆)」


 あうんの呼吸のめおと発見し(以下略)!!
 おチャグ、凛然と、金銭面で負担となるであろう自分はここから去ると告げました。おとうさんおかあさん二人揃って笑い飛ばされ、チャグムはむっと立ち向かいます。タンダとバルサ、気持ちは分かりますが真面目な子を笑うのはやめてあげてください。ていうか、ホント上手いですねタンダ役の人の演技。ハウルのあいつに分けてやれよ。いろいろ駄目になりかかってたジブリに痛恨の一撃加えやがってくださって。

  とってもダディー「チャグム。あんた、ここを出てどうやってやっていくつもりだい?」
  とってもチャイルド「余とて、タンダほどではないが、薬草や動物の知識はある。それでなんとかやっていける」


 知識は、世知と合体しなければ大金にはならないのが世の常。だというのに、おチャグは健気にも決意を貫き通そうとします。それを笑顔で一掃し、どっしりとバルサは答えました。あんたはそんな心配は一切しなくて良い、あんたはここにいていいんだと。よかったですねぇチャグムくん。しんみり(表面上)。チャグム安心感に泣き出しました。うんうん、その言葉が欲しかったのさ。欲しい時に欲しいものがフィーリングするなんて奇跡、そうそう何度もあるものじゃないでしょうけど。よかったよかった。
 まあ。奇跡なんて、起こるから陳腐なんですけどね。
 と全てをぶち壊す薄汚れた心根を持ったDNDDは仲間はずれにしておきつつ。
 夜。すっかり囲炉裏端も整えて就寝―――って、座布団は三枚あるのに、布団は二枚。チャグムとバルサだけで、タンダがいません。無論、バルサとめおと布団しているということもなく。スペースがなくて屋根裏で寝てるんでしょうか? よもや、あの山奥に帰ったのか? 通い妻か? 通い妻になるつもりなのか?
 そしてチャグム、眠るバルサへむけて囁きます。

  チャグム「ありがとう、バルサ」
  タンダ「俺は?」

 ―――って、思いませんでした?
 そして相変わらず失道の病のくせにふらふら出歩いてるシュガ、どうやら星読みの間のようなところにいるようです。プラネタリウムのような丸いヤツを見下ろしたり「このお空のどこかにいるチャグたんに会いに行こっかな……うふふ……」と見えない妖精を見上げたりしているうちに、ふと、何かに気付き……

  メンタル的には死にかけの麒麟「乾ノ相は―――消えていない!」

 どん!(効果音)
 まあ、今回の感想はこんなところで。それでは、いつもの四コマです。 

        アニメ第7話


第8話 刀鍛冶

 あのぼろぼろの直すんかぁ、と思っていると、姐さん太陽も地平の下にあるうちからボロいので朝練してました。練習だけだったらあれで十分でしょうしね。それにしても、かなり激しく動いてらっしゃる上に、そのスタイルは怪我をしたわき腹・肩の皮膚および筋の伸長屈伸を含む代物。かなり回復したようですね。コレ、時系列的に、カリュウドレンジャーとの死闘からどれくらいの時間が経ったんだろうか?
 そしてその物音で目覚めたおチャグは、これから切腹に向かうサムライの如きすげぇ行儀いいポーズのナマ着替えをチラ見させてから、バルサの元にはせ参じます。

 バルサ「やっと目が覚めたかい」
 チャグム「貴族の一日は午後からなんだよこの一般ピープルが」

 という反駁もすることなく、元プリンスは素直に従っています。へー、従順な子ですね。世に言うイイコですね。世に言うったって、世間でなんかくっちゃべったらあっという間に正体ばれそうなズレた子どもですけど、まあそれはそれですよね。
 む。「刀鍛冶」の題名の画面のバルサが黒目しかない……

  理由@アザラシの黒目の真似
  理由Aスコールの真似(ゲーム『ファイナルファンタジー[』)
  理由B目付きがあまりにヤクザを極めていたため、作者による自己検閲で塗りつぶされた

 という流れで、鍛冶をしてもらいに鍛冶屋へ向かうバルサとチャグム。おおう。職人街です! DNDDがいつか「され恋(DNDDのライトノベル略称)」に出そうか悩んでいるシーンのひとつ職人街の資料がこんなところに! やべぇなこりゃ空気チェックしとかないと。「其影(「され恋」の本編にあたるライトノベルの外伝話の略称)」の世界観からズレこませる為にはあのあそこらへんを―――うわ話が流れる! と巻き戻し。
 やたら栄えたでけぇ街だなと思っていたら、鉄はヨゴの売りの貿易頭らしいですね。おう、貴族のジンクスをバルサが知ってます。貴族の護衛をしたことがあるんでしょうか? 流れの用心棒を、たとえ腕利きと言われてもわざわざ雇いに来る貴族なんているんでしょうか? あるいは又聞きか? 後者のほうがしっくりきますねDNDD的には。
 そういえば皆さん、「とんちんかん」って知ってます? どうにも的外れだろって、ひとを小馬鹿にした言葉。アレって下手くそな鍛冶屋が刀を打つ際に呼吸が合わず、なんともカッコ悪いバラバラな足並み揃わぬ音が立った……という擬音が発祥なんですよ。刀を鍛える音が、「とんちんかん」だった、ということですな。まあ意味の無い蛇足なんですけど、それこそがうちのホームページの存在意義なので、言うだけ言っときましょう。うん。
 さて、からかいS気質をチラ見させたバルサと、真面目すぎてぺこんとトタン造りのよーにヘコみかけたチャグムが向かったのは、なんかマンガ『ブラックジャック』の刀工(いやあの人も鍛冶師か)が住んでた家のなんわり増しかマシ、といったカンジの離れ家屋。あ。増しとマシだって。分かりにくいけどダジャレできたから取っとこう。入ってみると、薄暗い中にロン毛かつ面長な荒巻課長が。じゃなくてついに義体化した課長が―――と言ってる内に思い出しましたが、短髪チャグム、ちっさいときのクゼヒデオに似てますよね。
 あっ、ちょんまげ……ちょんまげが! 課長のドタマがラブリーになっています! ちょっとー、写メっといてくださーい! あとで荒巻課長と合成映像つくるんでー!
 刃の見定め方がまたカッコいいなあ―――とか見とれていると、鍛冶師のじいさんにもバルサ極悪人の噂は伝わっているらしく、現代風に表現するならば「俺って宮仕えだから、あんたがそこの敵だったら俺もあんたの敵だから」といったようなカンジの言葉が重々しく語られます。あれ? なんか放火犯+反逆者+金好き下郎、みたいになってませんか評価。単に「こういった犯罪を犯した」でなく「金がほしかったからこういった犯罪を犯した」という因果まで作られ、どんどこ評価が下がっている始末。噂に尾ひれどころか背びれや胸びれまでぴったりフィット。あなどれません、戸が立てられぬ人の口。

  チャグム「無礼な! バルサは断じてそのようなことはしておらぬ!」
  せりふA:刀鍛冶「別に俺が言ったんじゃねえし」
  せりふB:ライト「計算どおり」(マンガ『デスノート』より)

 ってまず思ったのはDNDDだけでしょうけれど。ああ、このじいさん何か気付きましたよ絶対。だってあの目付き荒巻じゃん。バトーに腹黒ダヌキって言わしめたフェイスじゃん。なんか色々負けじゃんその時点で。あ、負けた罰ゲームとして、擬似親子は物置に閉じ込められました。嘘ですごめんなさい。罰ゲームじゃなくて、丸め込まれた挙句に閉じ込められました。

「やめて! 嫌だ出して! 出して……出してぇ、お願、ごめんなさ―――」
「戸」
「……え……」
「叩いても殴ってもいーけどな、開かないしっつーか開けないし。けど、爪だけ立てんじゃねえぞ。
 こないだバッキバキに割って出てきやがって。馬鹿にゃあ分かってねえだろうけどな。それ見られたせいで、どんだけ面倒増えたか分かってんの?
 お前っつーガキが一番面倒なのによ、そこから更に頂点極めてどうすんの?」
 押入れ。
 自分の体温に蒸れた空気が外側から、呼吸と悲鳴を詰まらせた感情が内側から、無音と共にひたひたと僕の埋葬を開始する。
 こんな時ばかり、僕は激しく息をしていても許された。これは実は、ひたすらにありがたい機会だった。この頃、大人たちの詮議は、僕の呼吸音がもたらす不愉快さの是非について、際どく否定的に傾きつつあったのだから。しかしどうやらこの人はその判決を待たず、僕のことを、剥製におがくずを詰め込むようにして、内側から圧死させたいらしい―――


 といったDNDDのボツ原稿虐待が繰り広げられることもなく、普通につっかえ棒で閉じ込められただけの二人。だけって、これじゃあ逃げられませんて! 逃げられたら困るような相手が来客か……と思っていたら、客って、カリュウドレンジャーのツインレッドぉ(世を忍ぶ仮の姿バージョン、イコール近衛兵の制服)!! じいさん鍛冶場の火を落として待ち構えています!

  じいさん「くだらぬ噂など気になさるお二人ではないと思いましたが、一応礼儀と思いまして」
  レッド一号「構わん。続けてくれ」

 ……え? 二人って貴族なんですか? 鍛冶の火を見たらあかんってのは、貴族の間のヤツじゃないんですか?
 そういえば、全く話が変わって、戦隊モノの話なんですけど。いつから赤レンジャーはレンジャーレッドに、黄レンジャーはレンジャーイエローに、桃レンジャーはレンジャーピンクになったんでしょうか。むう。DNDDが幼き日に見た覚えがある、在りし日の恐竜戦隊は、まだ桃レンジャーとかだった気がするんですけど。
 閑話休題。
 それにしてもジジイの持ち込んだこの展開は最悪です。宮の人に伝えられちゃうじゃないですか―――っていや待て待て、双方から話を窺うっていってらした以上、話をしてからじゃないとお上に突き出さないさ! だって仮にも荒巻課長と似ているお方ですし。多分。
 とか思ってたらじいさんあっさりとバルサたちの武器庫を示して「中に注文の刀あるから」と言い出しました。ええ!? 頬骨スネオが来……ちょ―――とうちゃんヤバいよ! ああ、とうちゃんがそのへんにあった刀を構えて、牙突零式を放とうとしている(←マンガ『るろうに剣心』より)! 勘弁しておくんなましー! やべ、慌てるあまりウソなまりが。

  ちょんまげ荒巻「お待ちください」

 ス ン 止 め (デコリボン止め)

 おいおいどういった百戦錬磨だー? とか思っていたら、爺さん「ヨゴ刀」とやらのお話を始めました。ああ、この十手のような、つばのない刀のことですね。世界観考証の末にそーいった形状にしたんでしょうけど、ああ、はやく設定資料集を購入したい……
 「はよ刀よこせや」といった短気もあらわなジンが、さっさと話を継いでいきました。ふむふむ。モンの説明も合わせ、聞けば聞くほど日本刀っぽい―――っと思っていると、爺さんが語るヨゴ刀の話を聞いて確信に変わりました。コレ、日本刀神話ですよね。他国においては人斬り包丁……というのは、西洋のサーベルなどについて語ったあるお方の有名な一説のはず。ふーむ。ここにこういった形で用いられるとは。

  ここ数時間で運命の分かれ道のじいさん「そこに、究極の名刀が生まれる余地があると思うのです」

 む? 名刀かつ、罪のみを切る刀? おや、その話題になって、明らかにダブルレッドの興味が増加しました。どうやら彼らは、上層部ミカドによってカリュウドレンジャーという重責を承った際に発せられたもうひとつの命題「失われた伝説の聖剣『せいしんのつるぎ』を奪取せよ」を忘れていなかったようです。こうなっては、錆びて折れた『せいしんのつるぎ』の穂先を探し出した挙句に、その鍔がわの刀身+柄こしらえを世界のどこかから見つけ出し、飲んだくれの鍛冶屋を、その親父に絶望して放浪に出ていた家出息子と再会させて更生の糸口を与え、聖剣に打ち直してもらうしかありません(長々とした嘘)。

  もう数時間のうちタイムリミットも近いじいさん「名刀などとんでもない。
                         私の刀は、手にすれば人を斬ってみたくなると言われる、しょせん妖刀のたぐい」


 刃の美しさは理性を魅了しますよねえ。
 知り合いの話ですが、彼の友人に、鍛冶屋がいまして。包丁とか打つわけですよ。家庭用のではなく、刃渡り○メートル単位のどえらい包丁を。マグロとか捌くやつなんですけど、白木作りの鞘に収められたンなとんでもない刃、どうみても日本刀です。殺人能力など予想するのも馬鹿らしい白々とした輝きでもって、人の理性を侵食してきやがる超一級。でも聞いたところによると、コレ日本刀みたく、国に所持の届け出さなくていいんですよ。日本刀じゃなくて包丁だから。包丁だから。
 ほ う り つ な ん て !
 まあ、いつか買う絶対買うと心に決めているので、それまで法改正はストップしててくださいね政府。
 さて、究極の名刀とやらに相応しいかもしれない……と断言を避けたあいては、どうやらジグロらしいです。二十四年前。バルサは六歳、ということは逃亡開始直後ですな。逸話を聞くうちに、狩人が(というかバルサとチャグムも)バルサと王子の境遇との類似に気付いたらしく、それぞれ意味深な空気を帯び始めました。そんでもって、追っ手の話となり、親友が親友を狩りにきたと言う展開までやってきた途端……

  頬骨スネオ「なんと卑劣な……!!」

 お前が言うな!!
 四対一!! 四対一!! 三十路女にレッド・レッド二号・ブルー・イエローっつー多勢に無勢でリンチかけといて、そのアホに偏った正義感な言い草はアレか、お前ホントに戦隊モノのレッドか!! 戦隊モノだったら変身・巨大化して最後にゃ一対一になるだけまだタチ悪くないわ!! ジグロは一回一回タイマンはってたってのに、お前ら一度に<王の槍>死闘四回分の人材(つまり四人)使い込んでボコにしようとしてたんだぞオイ!!
 と言ってるうちに、いつの間にか武器は、めいとう(のうりょく:『つみ』のみをきる 『ごう』をたつ)となってます。罪イコール業、という意味でいっているのでは無いですよね(ちょっくらニュアンスが違いますよ確か)。話を聞き終え、モンが改めてバルサとの重合部分を反芻しています。こうやって当人から改めて言われると、境遇の酷似具合が露呈されて、それぞれがそこに寄せる思いも感じられていいですな。てか、バルサのことをしっかりと認めて尊敬さえ抱いているようなモンの男前さにノックアウトです。
 そんでもって、どうやらじいさん突き出す気は失せたらしく、普通に刀を武器庫から取って狩人に渡しました。ハンマー使ってでも立ち向かおうとするバルサに惚れる。ってか、モンがじいさんに払った包みでかくないですか? なんだあれ? 代金のイロか? だとしたら、一体なんだというのでしょう?

  解答@プリクラ
  解答Aまんじゅう
  解答Bたんそ菌(致死量換算10万人相当量)
  解答C開封爆弾

 どうやらCだったらしく袋を開いた途端に鍛冶屋の家は木っ端微塵になりバルサもチャグムもみんな仲良くパパイヤ鈴木や葉加瀬タロウになっちゃってといったことはもちろん無く、うおっとう、モンがバルサの槍を見つけました。ばれるか? ばれちゃうんですか? するとひょんひょん刀振って「わーいわーい」とはしゃいでたレッド二号が、

  頬骨スネオリターン「槍のような雑兵の武器も打つのだな」

 お前が言うなリターン!!
 アンタその雑兵の武器にボコられた身分でよくもぬけぬけと!! 刀四本がかりで負けたくせに!!
 とかやってるうちに、二世代目の子連れ狼(バルサのこと)はバレやしませんでした。バルサどころかDNDDも肝を冷やしましたよ全く。双方から聞いた話いかんではやはり突き出す気だったもようのじいさんは、バルサにとっていい形の結論を導き出してくれました。七日後にできるよおとうちゃん! 七日って一週間だよね! きょうから七回寝たらいいんだよね? とか書いてたら、そーやってはしゃいでて昔「ウザ」と兄貴に階段から突き落とされた思い出の裂傷が。こわ。
 さあて、それから七日後。バルサが風を切りながら短槍を振って満足なその横の縁側で、タンダとチャグムがメシ食ってます。

  チャグム「おとうさんの機嫌、直ってよかったね!」
  タンダ「そうね。じゃ、わたしたちのお腹もご機嫌にしましょうか。ほら、おにぎりよ」
  チャグム「わあ、いっただっきまぁーす」
  タンダ「おとうさん、お茶が入りましたよ。そろそろ一休みなさったら?」
  バルサ「お前らで先に食ってなさい」

 といったやり取りを髣髴とさせるイイ感じの空気で幕を閉じました。五・六・七話目でぼろぼろになってた穂先を思い出すと、最後に綺麗になった刃のおもてを見詰めるバルサの笑顔もひとしおと言ったところ。いい話でした。会話だけでここまで引き込まれるワークを成り立たせてくれたプロダクションよグッジョブ。エンディングの「ありがとおぉぉぉぉ」とあなたに捧げたい。
 とまあこのよーに爽やかな話のお茶を濁すつもりではありませんが、気が向かれたなら、以下の四こまにでもお目通しくだされば幸いです。また、次巻のDVD感想でお会いできることを祈って……(この巻数まで感想に目を通してくれているリピーターさんなら、またお会いできるかと思いますが)。

        アニメ第8話



 <おまけ>
◎そのいち◎
 DVDの初回特典の話題は、購入者だけのお楽しみゆえにあえて感想文では回避してきたのですが、カリュウドレンジャーの名前が分かったのでメモりたいと思います。

  モン:カリュウドレッド一号。@。毛並みの悪いまっくろくろすけ(か、巨大なウニか、ビッグなブラックまりも)を後頭部にはりつけている。
     その忠誠心は、真ん中にアイスのっけた一斤トースト並みの厚さを誇る。レッドだからリーダーである。え? なんか問題あんのこの帰結?
  ジン:カリュウドレッド二号。A。頬骨スネオの愛称ってやっぱむしろ蔑称じゃね? と最近気付き始めたかもしれない。
     おチャグ親衛隊の第三席と兼任しているためレッドは二号の座に甘んじているが、チャグムというハートのオアシスの方がよほど大事ゆえ文句はない。
     自分より上位である親衛隊第二席シュガとは、嫉妬とかジェラシーとかまあいろいろあって不仲である(ちなみに第一席はサグムなので逆らえない)。
  ゼン:カリュウドイエロー。B。おっさんらしいおっさんな容姿。イエローだったらカレーを食え。
  ユン:カリュウドブルー。C。鼻キズ一本に不似合いな、あかねちゃん(マンガ『魔人探偵 脳噛ネウロ』より)のごときキューティクルを携えたロンゲ。
     ブルーゆえに海パンを履いて浜辺に住む。でも泳がない。髪いたむから。今日も今日とて、ムダに海パン焼け(ブーメラン型)して一日が終わる。
  ライ:カリュウドブラック。D。むやみに濃い。隠しキャラで、カリュウドレンジャーがピンチになると襟巻きをたなびかせつつ高所から飛び降りて参戦する。
     ただし、襟巻きほどたなびく髪はない。ていうか頭髪が一本も無い(波平以下)。天然か人工かは、本人とお天道様のみぞ知る秘密である。
  ヒョク:カリュウドホワイト。E。やたら鬼太郎。隠し隠しキャラで、ブラックがなんか影薄いときにその背後でチラつき、隠しキャラの存在感をアピールする。
      だが鬼太郎に似ている時点で「目玉の親父がいつ顔を出すか先に見つけたほうが勝ちだよハニー♪」「なにをぅこいつぅ負けないゾ、ダーリン♪」と
      視聴者の目を釘付けにし、バカップルの甘々チュッチュに一役買っているため、その役割も実は無益であるが、誰も指摘しないため現状維持。
  タガ:カリュウドイエロー二号。F。見れば見るほど、ゴルフクラブを失ったプロゴ○ファー猿の大人サイズ。あるいは栗ヘアー。
     アダルトながさわくんでも可(ながさわくん=ちびまる○ちゃんに出てくるヒネた小僧で、いじめの対象にならない奇跡に目を見張るばかりである)。
     イエローだからカレーを食うが二号なので二倍食わねばならず、最近は一号の腹の有り様を見て、メタボリックな未来像に心配を寄せる。
  スン:カリュウドピンク。G。ポニーテールでも首でも胸元でもなく、デコにリボンをつけるというニュー萌えジャンルを切り開いた恐るべき先駆者。
     その先駆者ぷりったるや、現実世界のタ○キーが愛称のアイドルならびに児童書世界の<天と地の守り人>第一部P104の大人チャグムにおける
     「ガリマッチョ」というニュー萌えジャンルが開拓された時の再現と呼ぶにふさわしかろう。
     とにかく見せ場が無いが、デコにリボンという装飾自体が見せ場といえるので、画面に出た時点でアニメはカリュウドピンクの独壇場である。

 まあ、いろいろ嘘ですけどね。
 しかし、センター試験の会場帰りの際にばったりと高校のクラスメートと再会し「DNDD(本当は苗字を呼ばれた)!!」と相手はこちらの名前を知っていてかつ好意的に呼びかけてきてくれているというのに、DNDDは相手の名前を全く思い出せず「あ……ええと……やぁ」と無難にしか答えられなかったという黒歴史を胸に抱くDNDDのこと、次の巻では忘れてますけど。感想にお目通しになる際の参考になればと思って。
 いや。だってクラスメイトって、朝会って夕方別れるまでの間に、テレビとか、のろけとか、のろけと大差ないエロとかの話の聞き役になって、馬尻を合わせておけば穏便にやりこなせてたので、特別に固有名詞を覚える必要がなくて。というクズですからDNDDは。な―――なんで中学校の時のように名札が無いんだ!! と高校入学時にひたすら冷や汗をかいてたまらなかった記憶も懐かしい。

◎そのに◎
 DVDけーすの内側の、ディスクがはまってる面に、イラストがあるわけですよ。
 今回は話の舞台ターニングポイント、刀鍛冶のじいさんの家の外観なわけですよ。
 んで。
 アニメでは屋根に生えてた大量の緑ぃコケが、このイラストではまったくもって皆無なわけですよ。
 つるっつるの草一本ない屋根瓦が漆黒も美しく陽光を受けてるわけですよ。
 ……なんか……もぞもぞする……もぞっもぞするんです先生……!!
  先生「心因性皮膚過敏症ですね。とっとと寝ろ」

◎そのさん◎
 DNDD、日もとっぷり暮れた居間で、DVD4巻を見ていました。その日は最高気温34度超えという、うっかり気を抜かすと「クーラーも無い愚民は干上がれ。なんかもう焼きスルメみたくクルクルに醜態を晒せ。体内ウォーターとか蒸気も残らず消え失せるがよかろう。ははははは!」と神の勝ち鬨じみた幻聴が聞こえてきそうな灼熱デイ。窓なんか網戸にして、DNDD方向に向けて扇風機ぶんぶんです。なぜ扇風機かというと、いい加減にクーラーばっか勧める神様に反逆してルルーシュを気取ろうとしたというドラマも無く、単にそんな設備が無かったからなんですけど。今どきイリオモテヤマネコ並みに珍奇な、炭団(タドン)の如き真っ黒髪オブDNDD、毛ェたなびかせながらテレビ画面をガン見してたわけです。
 そして7話目を見るDNDD、心中はヒートアップです。擬似家族が!! 顔面だけ剃毛(ていもう)したモリゾーみてぇな聖導師なんか二の次で、ボルテージは急上昇。ごはん……手料理のごはんが!! くれ!! クレ!! なんかもう作り手ごと寄越せ!! と思った瞬間―――ぎゃああああぁぁぁぁ!!
 眼球に激烈な痛みが!! しかも痛みが動く!! キショ!! ドクター、ドクターあああああああぁぁ!? ピンポーン、ただ今、当病院の東玄関におきまして急患が確認されました。近くにおられる医者は至急そちらへ―――って脳内ドクターコールも激しくアンコールな中で、わけが分からず洗面所に駆け込み目ン玉を鏡うつしにガン見すると―――

 虫

 ちっさい虫が白目でのた打ち回っています。おいおま、コラちょ……いや、やめ、おねが……が、がああぁぁぁそのちくちくな産毛と手足でDNDDのデリケートゾーンを傷モノにしてるんじゃねえぞコルァ!! と、半ば痛撃に鼻汁とか涙とか出しつつも、水道水で洗い流して事なきを得たには得たんですけど。
 しかし、ここで疑問が浮かびます。DNDD、虫にとってバリアーになり得るだろう状況に何重にもコーティングされておりました。穴なんか開いていない網戸、扇風機の「中」メモリ風、毛のバサバサ、半眼・睫毛などです。しかもすぐ隣で、ホワイトカラー一辺倒の同居人がうっかり寝てました。つまり明かりだの、明かりを反射する白色だのに向かう虫の習性が発揮されるべきは、対象としては同居人か、頭上の電灯の方がよほど安易であったはず!! なぜよりによって、守り人真っ只中のDNDDに向かってきたのか!? 我が脳髄の空腹というか理性の欲求というかに耐え切れず、この深遠なる謎を、我が知音へ語尾も荒々しく問いかけ、助言を求めたたところ―――

「それは萌え過熱で脳血管が破綻しないよう水を差すため神が遣わした特攻兵だ」

 (゜Д゜)


 …………。
 いや、そんだけなんですけどね。
 ちなみに虫は取りきれていなかったらしく、翌日、睫毛に絡まった状態で遺体で発見されました。家族はショックを隠しきれず、現在、市内の病院にて治療を受けています。警察は「捜査に落ち度はなかった」との主張を繰り返しており、本日十四時から予定されている定例記者会見でも、その撤回は見られないだろうと考えられています。現場からは以上です。